
「野獣死すべし」という映画があります。松田優作の狂気じみた演技の際立った「名作」です。
そのあらすじやラストシーンのネタバレ、動画など含み、さらに惜しくも他界された撮影監督「 仙元 誠三 」さんへの追悼も込めて紹介させてもらいます。
野獣死すべしのあらすじ
ある大雨の夜、東京都内で警視庁捜査第一課の岡田警部補が刺殺され、拳銃を奪われる事件が起きるが更にその拳銃を使用した違法カジノ(いわゆる、合法じゃあないとんでもないレートの「カイジ」に出てきたみたいなカジノね)強盗殺人事件が発生し従業員はほぼ全員射殺され、世間は騒然となる。その犯人は、数々の戦場で「人の死」を見てきた大手通信社外信部記者の伊達邦彦( 松田優作 )だった・・・。伊達は東京大学卒のエリートで頭脳明晰、射撃の心得もある(喧嘩は恐ろしく弱く、カジノで意図も簡単に安岡力也に殴られ吹っ飛ばされる)。現在は通信社を退職し、翻訳家をしながら趣味である読書とクラシック音楽鑑賞に没頭、社会とは隔絶した生活を送っていた(まあそこそこ金はある暮らしをしていた)。
次の標的を銀行に定めた伊達は綿密な計画を企てるが、厳重な防犯体勢の元では単独犯行は不可能であると判断、相応しい共犯者を欲するようになる。そしてある日、大学の同窓会に出席した伊達は、レストランでウェイターとして働く青年、真田と出会う(客に電光石火でぶちきれる 鹿賀丈史 ね)。2人は正反対の性格ながら、どこか通じ合うものを感じ、以後行動を共にするようになる。現金強奪計画を真田に伝えた伊達は、真田に銃の扱い方を教え、「動く標的」として恋人の殺害を強要する。そして、躊躇を重ねながらも恋人を射殺した真田を伊達は「君は今確実に、神さえも超越するほどに美しい」と称え、社会性や倫理感を捨て去りとして生きていく術を説く(どちらかと言うと洗脳に近い)。
2人は銀行襲撃を決行するが、伊達に思いを寄せる華田令子( 小林麻美 )が客として偶然居合わせるという、予期せぬ事態が起きる(そのとき伊達はこの人と殺さないのでは・・・多分恋愛感情を抱いているのではと思わせるが・・・)。銀行員達を次々と殺害し、地下金庫から大金を収奪すると逃走を図るが、そこにはマスク姿の伊達を見つめる令子の姿があった(伊達という事に感づいた感じ)。振り返った伊達はマスクをはずし、躊躇することなく令子にも引き金を引く(結局恋愛感情0)。
警察の緊急配備網を巧みな鉄道移動で突破したかに思えたが、岡田の部下で伊達を執拗に追い回す変わり者の刑事・柏木(は、どこまでも伊達に付きまとう(間然に伊達が誰だかわかっている)。そしてついに決断した柏木は、夜も更けた鉄道の車内で伊達に拳銃を向け、尋問を始めたのだが・・・。
といったもの。
野獣死すべしの予告編
野獣死すべしの 「リップヴァンウィンクル 」のシーンとラストのネタバレ
注意!以降ネタバレあり
野獣死すべしの 「 リップヴァンウィンクル 」のシーン
その後、電車で逃走を図る伊達とわざと相席する 刑事・柏木 (室田日出男)
伊達が銀行強盗の犯人であるという事を言いのがれないところまで追い詰めるが、窓越しに自動小銃を持った 真田 の影が映り、一気に形成を逆転される 柏木 。
そして俳優・松田優作の狂気の演技としても有名な「 リップヴァンウィンクル の話を柏木に語る伊達」のシーンが始まる。
伊達を追い詰め、 真田の登場により形勢を逆転された柏木の前で盾が行ったのは、 拳銃による うたてが柏木だけを撃つ一方的な ロシアンルーレットだった。
伊達は「 リップヴァンウィンクルの話」を 柏木に語りながら 合間合間で拳銃の引き金を引く。
リップヴァンウィンクルの 話とは・・・
「 眠ますか・・・。 眠る前にお話し、ひとつしてあげますよ・・・。 リップヴァンウィンクルの話って知ってます・・・。 いい名前でしょ。 リップヴァンウィンクル・・・。 彼がね山に狩りに行ったんですよ・・・。 山へ狩りに。( ここで一発目の引き金を引くが銃弾は出ない)」
「そこでね・・・ 小人に会ったんです。 何ていう名前の小人だったかは忘れましたけどね・・・ 随分昔の話だから、 とにかくその小人になってウィンクルは お酒をご馳走になったんですよ。 そのお酒があまりにも美味しくて、 どんどん寄ってしまったんです・・・ そして夢を見たんです。 眠りに落ちて夢を見たんです。( ここで2発目の引き金を引く。 弾は出ない)
「 寒いですか ・・・寒いんでしょ。 その夢はね、 どんな狩りでも許されるという素晴らしい夢だったんです・・・。 ところがその夢がクライマックスに達した頃、惜しいことに夢が覚めてしまったんですよ。 辺りを見回すと、 小人はもういなかった・・・ 森の様子も少し変わってた・・・ ウィンクルは慌てて妻に会うために 村へ戻ったんです・・・ ところが・・・ 妻はとっくの昔に死んでたんですよ。 村の様子も全然変わってましてね・・・ 分かります? つまり、 ウィンクルが一眠りしてる間に 何十年もの歳月が経っていたんです。 面白いでしょう・・・( ここで リップヴァンウィンクルの話もほぼ終わりいよいよかと思われた3発目の 引き金を引くが 弾は出ない・・・)
そして柏木は 怯えながら焦りつつ 伊達に向かってこう言う
「 あんたには、 初めから妻なんかいなかったじゃないか・・・」
それに対して伊達は落ち着いたゆっくりした口調で こう言う
「 僕の話をしてるわけじゃないでしょう・・・ リップヴァンウィンクルの話をしてるんですよ・・・」
さらに怯えながら柏木はこう答える
「 リップヴァンウィンクル・・・ 小人に何ていう名前の酒をもらったんだ・・・ 出来れば俺も飲んでみたいな・・・」
そして伊達はゆるやかに答え 柏木に問いかける。
「 覚えてます。 ram cointreau・・・ それにレモンジュースを少々・・・ シェイクするんです・・・ わかりますか・・・」
そして柏木は怯えきりその答えを出す。
「 X・・・ Y・・・ Z」
すぐさま伊達は柏木の答えにさらに答えを出す。
「そう・・・ これで終わりって酒だ!」
目を まるで 悪魔のように大きく見開き、最後の引き金を引く伊達。
しかし弾は出ない・・・・
そして伊達は無邪気に笑い、 柏木に語りかける
「あっ・・・は・・・は・・ あんた 尽いてる! 眠ますか、 面白かったでしょう。 僕も疲れちゃった・・・眠ましょう・・・ 今日は・・・」
そう言って目を閉じる伊達。
その隙を突いて 席から立ち逃げようとする柏木だったが伊達は眠ってはいなかった
すぐさま拳銃で射殺される柏木だった・・・。


野獣死すべしのラストシーン
伊達は無人のコンサートホールで目を覚まし・・・
そして、「あっ」と奇声を発しながら、会場を後に・・・
暗かったコンサートホール から出るとそこは、まるで異世界のように照り付ける白昼であり、まるで「永い時が過ぎてしまったように」思える・・・。
そして伊達が外に出て階段を降りていると、スナイパーが放ったような狙撃音が突然甲高く響き(伊達にしか聞こえていないのかもしれない狙撃音が)伊達は腹を押さえてその場に倒れ込みます。陽炎の中に蜃気楼のような柏木の姿が揺れて、さらに伊達が背中を撃たれて体を反り返らせて崩れる場面で、物語は幕を閉じます。
このラストシーンには「様々な解釈をされた」ことが言われていますが、一貫しているのは「伊達自体が リップヴァンウィンクル だったのではないか」といった事です。
全ては「白昼夢」であり、「伊達」自身が そうであったのかもしれません・・・。


1980年版・野獣死すべし・での松田優作
1980年に作られたこの映画「野獣死すべし」は原作とは違う要素を含んだあらすじになっており、主演の松田優作さんは、クランクイン前に「役作りのために少し時間が欲しい」として、しばらくの間スタッフと音信を絶ち、10kg以上減量し、更に頬がこけて見えるようにと上下4本の奥歯を抜いたという。約1ヶ月後、撮影所に現れた松田の痩せ細った姿に監督の村川透が激怒し、松田優作さんと激しい口論を始めたという逸話も残されているそうです。
野獣死すべしのキャスト・スタッフ
キャスト
- 松田優作:伊達邦彦
- 鹿賀丈史:真田徹夫
- 小林麻美:華田令子
- 根岸季衣:原雪絵(真田の恋人)
- 室田日出男:柏木秀行(警視庁捜査第一課 刑事)
- 風間杜夫:乃木(大学の同窓生 出版社編集長)
- 岩城滉一:結城(大学の同窓生 外務省)
- 阿藤海:東条(大学の同窓生 総合商社鉄鋼部)
- 泉谷しげる:小林
- 安岡力也:峰原(カジノの元締め)
- 山西道広:黒岩(カジノマネージャー)
- トビー門口:奥津(カジノ幹部)
- 青木義朗:岡田良雄(警視庁捜査第一課 警部補)
- 角川春樹:警察官(冒頭シーンで、警らに行く巡査)
- 佐藤慶:遠藤(銃の密売人)
- 草薙幸二郎:永友(宝石店・銀座ジュエル店員)
- 前野曜子:沙羅(雪絵の店のホステス)
- 岡本麗:エリカ(ホステス)
- 関川慎二:白井(ウェイター)
- 吉岡ひとみ:石島(東洋銀行預金係)
- 江角英:梅津(東洋銀行課長)
- 清水宏:東洋銀行警備責任者
- 友金敏雄:東洋銀行ガードマン
- 井上博一:立花
- 加藤大樹:平井(大学の同窓生)
- 林ゆたか、清水国雄、鶴岡修、浜口竜哉:同窓会出席者
- 谷本一:警察官(パトカーで東洋銀行に向かう巡査)
- 相馬剛三:夜行列車の車掌
- その他:草薙良一、船場牡丹、明日香和泉、五月まりや、吉宮慎一、畑中猛重、石田久美子、松香ふたみ、雪江由紀、平野真理、古川みよ子、渡辺紀子、二家本辰巳、小見山玉樹、伊豆見英輔、永田伸介
スタッフ
- 監督:村川透
- 原作:大藪春彦
- 脚本:丸山昇一
- 製作:角川春樹
- プロデューサー:黒澤満、紫垣達郎
- 撮影:仙元誠三
- 照明:渡辺三雄
- 録音:福島信雅
- 美術:今村力
- 編集:田中修
- スクリプター:関谷嘉明
- 音楽:たかしまあきひこ
- 音楽監督:鈴木清司
- 演奏:東京交響楽団
- 交響楽団指揮:村川千秋
- ピアノ:花房晴美
- 「野獣死すべし」のテーマ
- 作曲:たかしまあきひこ
- 演奏:岡野等と荒川バンド
- 企画制作:角川レコード
- 発売:日本コロムビア
- 音楽プロデューサー:高桑忠男(東映音楽出版)
- 助監督:小池要之助
- 効果:坂井三郎(東洋音響)
- 製作担当者:青木勝彦、山本勉
- テクニカル・アドバイザー:トビー門口
- 擬斗:高倉英二
- フラメンコ指導:小松原庸子
- 衣装:第一衣装
- 美粧:入江美粧
- 録音スタジオ:にっかつスタジオセンター
- 装置:東映美術センター
- 現像:東映化学
- 協力:東映俳優センター
- 製作協力:NEC、大塚商会、オンキヨー、ワールド・カセイ、パンドラルーレット教室
- 制作協力:角川書店、東映芸能ビデオ、セントラル・アーツ
- 角川春樹事務所 = 東映提携作品
野獣死すべしの撮影監督「仙元誠三」さん

様々な日本映画を撮影した「偉大な撮影監督にしてカメラマン」であった仙元 誠三(せんげん せいぞう)さんが 3月1日8時2分、誤嚥事故のため死去されました。
仙元 誠三 さんの主な撮影作品
- 新宿泥棒日記(1969年)
- 書を捨てよ町へ出よう(1971年)
- キャロル(1974年)
- キタキツネ物語(1978年)
- 最も危険な遊戯(1978年)
- 殺人遊戯(1978年)
- 処刑遊戯(1979年)
- 蘇える金狼(1979年)
- 白昼の死角(1979年)
- 野獣死すべし(1980年)
- ヨコハマBJブルース(1981年)
- セーラー服と機関銃(1981年)
- 獣たちの熱い眠り(1981年)
- 野獣刑事(1982年)
- 汚れた英雄(1982年)
- 里見八犬伝(1983年)
- 探偵物語(1983年)
- 愛情物語(1984年)
- Wの悲劇(1984年)
- 早春物語(1985年)
- めぞん一刻(1986年)
- キャバレー(1986年)
- ア・ホーマンス(1986年)
- この愛の物語(1987年)
- 恋人たちの時刻(1987年)
- ラブ・ストーリーを君に(1988年)
- いこかもどろか(1988年)
- 愛と平成の色男(1989年)
- ウォータームーン(1989年)
- オルゴール(1989年)
- キッチン(1989年)
- ジュリエット・ゲーム(1989年)
- バカヤロー!3 へんな奴ら(1990年)
- 女がいちばん似合う職業(1990年)
- 福沢諭吉(1991年)
- 極道戦争 武闘派(1991年)
- 継承盃(1992年)
- 赤と黒の熱情(1992年)
- リング・リング・リング 涙のチャンピオンベルト(1993年)
- 免許がない!(1994年)
- BE-BOP-HIGHSCHOOL(1994年)
- あぶない刑事リターンズ(1996年)
- 極道の妻たち・決着〈けじめ〉(1997年)
- 義務と演技(1997年)
- 鉄と鉛STEEL&RED(1997年)
- あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE(1998年)
- 共犯者(1999年)
- 侠道シリーズ(2000~2001年)
- 実録安藤組外伝 餓狼の掟(2002年)
- 凶気の桜(2002年)
- プレイガール(2003年)
- まだまだあぶない刑事(2005年)
- フライ,ダディ,フライ(2005年)
- TANNKA 短歌(2006年)
- 笑う警官(2009年)
- 行きずりの街(2010年)
- さらば あぶない刑事(2016年)
野獣死すべしを無料でみる方法
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野獣死すべしのまとめ
松田優作・主演、監督・村川透、といったコンビでの角川映画であった映画「野獣死すべし」 は単なる原作者・大藪春彦のハードボイルド小説を映画化したというわけではなく、松田優作の際立った演技や村上監督の世界観に満ち溢れ、公開当時のみならず今も「名作」として映画ファンを魅了している作品でもあります。
この度「惜しまれる限り」なのですが「数々の日本映画」を撮影された仙元誠三さんが永眠されました。
私のような映画好きな者からは「悔しくて切ない」限りです。
仙元誠三さんへの追悼も込めて紹介させていただきました「野獣死すべし」
おすすめです。
最後に仙元誠三さんへ
今まで本当に色んな映像で数え切れない影響を与えてもらった事を心より感謝しています。本当に有難うございました。
心よりご冥福申し上げます。